2012/03/19

映画「おとなのけんか」観てきました


「おとなのけんか」
「戦場のピアニスト」のポランスキー監督の最新作。
友達の話を聞いて、なんか妙に気になり、次の日一緒に観に行ったという訳です。
普段あんまり映画は観ないのに、まさかブログで映画のレビューを書くなんて。
それくらい心に残った映画でした。

(あらすじとネタバレを含みます。)

子どもの喧嘩がきっかけで集まった二組の夫婦。
話し合いの末、和解したはずなのですが…。
「うちの子は悪くない。非があるのはそっちだ。」
その本音が徐々に隠せなくなってゆく両者。
少しずつ険しくなっていく表情、じわじわと強くなっていく声色。
そしてその緊迫を破ったのは、幾度と無く掛かってくる夫の仕事の電話でした。

そこからはもう大変。
ブチ切れた4人の大人が馬事雑言の浴びせ合い。
本題とは全く関係ない事まで引っ張り出して、皮肉たっぷりに罵り合います。
2対2だったはずが夫婦同士で喧嘩になったり、3対1になったり、もうめちゃくちゃ。
見ていて爽快な程に罵倒し合う大人4人に、もう和解なんて言葉は見当たりません。
そんな大人たちを尻目に、子ども達はとっくに仲直りして遊んでいるという結末。
邦題の不自然なひらがな表記が、最終的にしっくりくるのです。
おとなのけんかは大人げなく、惨めなものだと。



性格や価値観、教育方針、考え方の違い。
はたまた男女間での温度差。
そして、いつまでもいがみ合う大人と、自然と仲直りしている子ども。
それぞれの対比の描写が、とてもよく出来ています。
場面はマンションの一室と、最初と最後の公園のカットのみ。
それだけで充分伝わります。
そしてリアルタイムに進む物語。
役者さん達はガンガン喋りまくりで圧倒されました。



原題「Carnage」の日本語訳は、(戦場での)修羅場、大量虐殺。
マンションの一室での大人達の戦いから、911テロ等の国際問題の風刺までも連想してしまうのは、窓から見えた高層ビルの街並みのせいでしょうか。

ただのコメディ映画じゃ収まらない、深い話だなぁと思うのでした。
こんな面白い映画があるなんて!

ウェブサイト