「おとなのけんか」
「戦場のピアニスト」のポランスキー監督の最新作。
友達の話を聞いて、なんか妙に気になり、次の日一緒に観に行ったという訳です。
普段あんまり映画は観ないのに、まさかブログで映画のレビューを書くなんて。
それくらい心に残った映画でした。
(あらすじとネタバレを含みます。)
子どもの喧嘩がきっかけで集まった二組の夫婦。
話し合いの末、和解したはずなのですが…。
「うちの子は悪くない。非があるのはそっちだ。」
その本音が徐々に隠せなくなってゆく両者。
少しずつ険しくなっていく表情、じわじわと強くなっていく声色。
そしてその緊迫を破ったのは、幾度と無く掛かってくる夫の仕事の電話でした。
そこからはもう大変。
ブチ切れた4人の大人が馬事雑言の浴びせ合い。
本題とは全く関係ない事まで引っ張り出して、皮肉たっぷりに罵り合います。
2対2だったはずが夫婦同士で喧嘩になったり、3対1になったり、もうめちゃくちゃ。
見ていて爽快な程に罵倒し合う大人4人に、もう和解なんて言葉は見当たりません。
そんな大人たちを尻目に、子ども達はとっくに仲直りして遊んでいるという結末。
邦題の不自然なひらがな表記が、最終的にしっくりくるのです。
おとなのけんかは大人げなく、惨めなものだと。
性格や価値観、教育方針、考え方の違い。
はたまた男女間での温度差。
そして、いつまでもいがみ合う大人と、自然と仲直りしている子ども。
それぞれの対比の描写が、とてもよく出来ています。
場面はマンションの一室と、最初と最後の公園のカットのみ。
それだけで充分伝わります。
そしてリアルタイムに進む物語。
役者さん達はガンガン喋りまくりで圧倒されました。
原題「Carnage」の日本語訳は、(戦場での)修羅場、大量虐殺。
マンションの一室での大人達の戦いから、911テロ等の国際問題の風刺までも連想してしまうのは、窓から見えた高層ビルの街並みのせいでしょうか。
ただのコメディ映画じゃ収まらない、深い話だなぁと思うのでした。
こんな面白い映画があるなんて!
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